タイで博士号を取得したリサーチ・アドミニストレーターのブログ

タイで博士号を取得したリサーチ・アドミニストレーターのブログです。これから、学術研究、教育、科学技術で国際連携などの道に進んでみたいなと志す大学・大学院生へ、自分らしい博士人材キャリアの”創り方”のヒントになるネタをお届けします。

【タイで博士号No.2_8】リサーチ・アドミニストレーターの原点

21世紀COEプログラム」に参加して学修したことのまとめです。21世紀COEプログラムというのは、2004年頃の第一次小泉内閣の時に始まった国際的に競争力がある世界的な研究教育拠点(大学院博士課程レベル)を作るための大学改革のプログラムです。当時は、まだ修士課程の学生でしたので実の背景的なことはよく分かっていませんでしたが、今思うと、このあたりから大学の研究環境が大きく変わっていくことになる節目だったのでしょうね。良くも悪くも、この大学行政と本学の方針の流れには乗って、タイ留学時代に知識と技術以外に知恵や実践知を学ぶ貴重な経験を積ませて頂きました。これが、リサーチ・アドミニストレーターの原点になっているものです。

 

f:id:habumon:20190914121120j:plain

 

www.mext.go.jp

――

我が国の大学が、世界のトップレベルの大学と伍していくためには、競争的環境を一層醸成し、国公私立大学を通じた大学間の競い合いがより活発に行われることが重要です。この一環として、第三者評価に基づく競争原理により、世界的な研究教育拠点(大学院博士課程レベル)の形成を重点的に支援し、国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進するため、平成14年度より、「21世紀COEプログラム」(平成14年度予算額182億円)を実施しています。・・・・・・文部科学省高等教育局(平成1411月)

――

2004年というのはどんな感じだったのかについては、何度もこの登場していますが下記のグラフを再掲。

 

f:id:habumon:20190721184923j:plain

 

この平成14年度の第一期に、私が在学していた京都大学エネルギー科学研究科を主幹とした「環境調和型エネルギー研究教育拠点形成」も採択されました。環境調和型エネルギーシステムとしての太陽・水素・バイオエネルギーシステムを実現するための研究拠点,及びエネルギー・環境問題に関わる教育の高度化と国際化をめざした教育拠点を形成する。また,これらを推進するための国際環境調和型エネルギー 情報センターを設立する、というものです。この事業計画の中にあったのが、タイ・バンコクに海外拠点を設置するというものでした。そして、当時このプログラムの海外連携等を担当されていたのが、エネルギー理工学研究所の吉川暹先生という方で、後にプログラム全体のリーダーを務められます。タイ留学を決めてから、吉川研に居たタイ人の同級生に吉川先生を紹介して頂いてから、留学前後を含めて現在に至るまで大変お世話になっております。

 

そこで、吉川先生より任命を受けたのが「21COEバンコク調査研究員」という役割です。具体的な活動内容は多岐にわたり次の通りです。一人海外駐在員みたいなものですね。

 

21COEバンコク調査研究員の役割(活動内容)

バンコクスクンビットに開設したオフィスと郊外タンニャブリになるセンターの管理

京都大学21COEプログラムとタイ側パートナー大学(JGSEE, RMUTT)との連絡調整窓口

京都大学21COEプログラム関係者の来タイ時のアテンド

・タイ側パートナー大学(JGSEE, RMUTT)と合同シンポジウム、ワークショップ開催時の事務局スタッフ

・タイ及びアジア周辺国のエネルギー・環境分野の研究者とのネットワーキング支援

・タイ側パートナー大学の研究者との国際共同研究プロジェクト企画の調整支援 など

 

などなど、書き出してみるとかなりの業務量でした。これを受ける傍らで、博士号を取得するための研究も行っておりましたので、寝る間を惜しんでという感じではありましたね。

 

タイミング良く京都大学のこういうミッションを任せてもらえたというのは、タイ留学を頑張る精神の支えというか、承認というか、自信に繋がっていたと思います。特に、タイ留学ということに関しては以下のような志を掲げておりましたから、それが独りよがりではないというような確認できていたのだと思います。

 

持続可能な社会に向けてエネルギー環境問題など地球規模課題や地域共通課題の解決に向けて貢献できる人材になる

 

habumon.hatenablog.com

 

この取組を通じてのアウトプットをまとめると次の通りです。

 

アウトプット

京都大学環境調和型エネルギー交流拠点

・持続可能かエネルギーと環境の国際会議(Sustainable Energy and Environment International Conference: SEE International Conference) 計2回 開催 (2004 – 2007)

京都大学国際シンポジウム(21 COE:5拠点合同国際シンポジウム)(2007)

・エコーエネルギーと材料科学の国際シンポジウム(Eco-Energy and Material Science International Conference: EMSES International Conference) 計2回 開催(2004-2007)

・環境調和型エネルギー国際短期サマーコース

・SEE 2007宣言文(Expression of Intents: New Energy Initiatives)

・JGSEE Student Association (JGSEESA)

 

この時期は新しい交流を促進するための京都大学として新機能の導入試行(海外交流拠点)や、カウンターパートや学内他部署との合同シンポジウムの枠組みを構築して人と人の交流を促進するということが多かったです。

 

今やかましく言われているような有名雑誌へ国際共著論文ガー、とか被引用件数ガーとか普通に研究進捗を考えてすぐに出るわけないですよね。その代わり、新規で構築した国際シンポジウムの学会誌へタイやアジアの学生さん、研究者と京都大学の先生方との共著が出始めたり、シンポジウムを通じて面識が出来て京都大学の大学院へ留学したり、などにしっかり繋がりました。

 

次にアウトプットに応じてどのような波及効果(アウトカム)があったかまとめてみたいと思います。主に自分の学修に繋がったことをメインにしたいと思います。

 

アウトカム(波及効果)→特に自分へ

・アジア太平洋地域における持続可能なエネルギーと環境分野の研究者ネットワーク(人脈)の世話役というポジションを得られたこと(SEE Forumと言います)

京都大学の東南アジアを対象に教育研究活動を実施している多くの部局の教職員と人脈を形成できた。

・在タイ日本機関(日本大使館文部科学省から出向している人、日本学術振興会、他大学の拠点などなど)との人脈を形成できた。

・日本の大学事務文化と東南アジアの大学事務文化の間での実務的な調整能力の獲得

 

単純言うと、“人脈”異文化間の事務調整経験”の二つの獲得につながりました。この二つの自分自身へ対する波及効果が現在、京都大学でリサーチ・アドミニストレーションという専門的な仕事をする基盤になっていることは言うまでもありません。

 

あと、最近読んだ本で本学にもいらした中野剛志先生の「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学 (講談社現代新書)」は、本質的なところを突いておられて、特にハイライト箇所などは大変共感を受けました。留学先の国や地域を問わずこれが本質的なんでしょうと思います。以下、アマゾンの紹介から引用:

 

真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学 (講談社現代新書

日本経済はなぜ長期停滞しているのか。起業の活力もイノベーションの条件も不足しているからなのか。通説を覆し本当の可能性を探る。

 

ベンチャー企業イノベーションについて本書で言及する5つの論点。

アメリカはベンチャー企業の天国ではない。アメリカの開業率はこの30年間で半減している。

アメリカのハイテク・ベンチャー企業を育てたのは、もっぱら政府の強力な軍事産業育成政策である。

イノベーションは、共同体的な組織や長期的に持続する人間関係から生まれる。

アメリカは新自由主義的改革による金融化・グローバル化が進んだ結果、生産性は鈍化し、画期的なイノベーションが起きなくなっている。

・日本はアメリカを模範とした「コーポレート・ガバナンス改革」を続けた結果、長期の停滞に陥っている。

これらの実態を知ったうえで、企業が目指すべき方向とは?

 

アマゾンの書評で最後「企業が目指す方向とは?」とありますので、こういう内容は学生のうちに早めに知っていると、学生時代(学部、修士、博士~)の期間を活用して何を得ておくと将来の自分の生産性やイノベーションにつなげることができるのか、ということのヒントになると思います。

 

【タイで博士号No.2_7】 「二足のわらじ」を履いてみなはれ!

ブログのタイトル「タイで博士号を取得したリサーチ・アドミニストレーターのブログ」とありますように、現職はリサーチ・アドミニストレーター(通称:URA)です。URAUniversity Research Administratorの略称で、日本ではResearch Assistant (RA)と標記を区別するためにURAと標記されるようになりましたとさ。日本の大学では2012年ぐらいから徐々に導入が始まり、今では南は沖縄、北は北海道と日本全土に広がってリサーチ・アドミニストレーター協議会という組織も発足しております。先週に東京で年次大会が開催されていました。

www.rman.jp

f:id:habumon:20190908131730j:plain

 URAは大学院へ進学して博士課程に進もうかどうか考えている学生さんにとって、前向きに将来のキャリアパスを広げる選択肢となると思います。中には博士に進学したら研究職につくことが至上命題のようにお考えの方も見受けられますが、せっかくの学問に集中できる期間に知識と技術だけ吸収するというようなのはもったいないと個人的に思います。これは、今に始まったことではなく、前回ご紹介した渋沢栄一著の「論語と算盤」で現代教育の得失という章でも言及されています。

 

habumon.hatenablog.com

 

一体現代の青年は、学問を修める目的を誤っておる。今の青年はただ学問のために、学問をしているのである。初めより確然たる目的なく漠然と学問する結果、実際社会に出てから我は何の為に学びしやというがごとき疑惑に襲われる青年が往々にしてある。。」(同引用)

 

次ぎも。。

 

学問すれば誰でも皆偉い者になれる」という一種の迷信のために自己の境遇生活状態をも顧みないで、分不相応の学問をする結果、後悔するごときがあるのである」(同引用)

 

さらに続く。。

 

浅薄なる虚栄心のために修学の法を誤らば、これ実に青年の一身を誤るのみならず、国家元気の衰退を招く基となるのである」(同引用)

 

これは、明治時代に書かれた文章ですが、平成~令和を通じて読んでいても新しく内省に繋がる文章です。もともとは論語に書かれた孔子の言葉に基づいているので、何時の時代でも人間の学問という点において本質的な注意喚起なんだと思っております。

 

さて、本日はタイトルの「二足のわらじ」について書くまでに前置きが長くなってしまいました。過去回想調よりかは、過去の事実に基づいて今の気づきに結び付けようという方向に改良中です。

 

リサーチ・アドミニストレーターの役割も大学ごとなどで様々ではありますが、私の場合は総じていうと「大学の研究力を強化する事業を創発し実装する」という仕事となるかと思います。(それに貢献するということがより正確ではあります)。要は、①研究の実践経験もあって、②事業を創発し実装するという実践経験、この二つをタイ留学時にまとめて学修できたということです。大変でしたが、友達も一杯できて楽しかったです。

 

このことが実践できるようになる学問が出来たのがタイで①Ph.D過程に留学と②21COE調査研究員(環境調和型エネルギー科学拠点)の「二足のわらじ」を3年間、履きとおしたことであると思います。

 

habumon.hatenablog.com

 

この①Ph. D過程の研究についてはこれまで紹介してきました。ちゃんと、研究論文も出していますよ。これから、②21COE調査研究員の取組から学んだ実践知などをまとめていきたいと思います。

 

【タイで博士号No.4_3】桃からうまれた桃〇〇~昔話にならないように(余談)

チャオプラヤ川から流れてきた桃から生れた...

昔昔あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんが山へ芝刈りに。おばあさんが”チャオプラヤ川”へ洗濯へ行きました。すると、チャオプラヤ川の上流から大きな桃がトンブリ~、トンブリ~と。おばあさんが桃を取り上げると、中から大きな男の子が・・・。本名も”太郎”なだけに、ほんまに昔話として語られてしまわないかと、若干危惧するところです(WW)。なかなか、タイで博士留学しようと思う人が現れないな~。

 

f:id:habumon:20190907153704j:plain

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が公表している下記の記事の報告書によれば、博士課程へ進学するまでの、大学間移動状況が報告されていて、学部から博士まで同じ大学で一貫進学している人が47.2%。一方で、学部→修士→博士で全部違うところへ行っている人が5.6%とのこと。18歳ぐらいで決めた進学先から出ないのはよっぽど居心地がよいのでしょうか。私なんかは、後者の5.6%の部類に入るのですが、国内であまり動こうとしない人が多いなかで、タイ博士留学(自然科学系)っていうのを進めて、動いてもらうかっていうのはチャレンジングですね、と改めて思います。

www.nistep.go.jp

 

f:id:habumon:20190907160502j:plain

(引用元:「博士人材追跡調査」第2次報告書[NISTEP REPORT No.174]

 

 

 

habumon.hatenablog.com

 

habumon.hatenablog.com

 

日記調に少し、近況

今回のASEAN拠点駐在では旧知のお仲間と偶然の再開も含めて新たに親交を深めることができて非常に嬉しい。昨日は、つい最近に ASEAN Center for Energy (ACE)のExecutive Directorに就任されたNukiさんとお互いの母校である JGSEE を訪問しました。Nukiさんの指導教官のShabbier先生とのツーショットがなんとも言えない微笑ましさを感じます。(私のキャラと顔の薄さが目立ちますが、それは仕方あるまい)

 

f:id:habumon:20190907153800j:plain

 

前後しますが、ASEAN University Network (AUN)の Executive DirectorのCholtis先生にもご挨拶。2006年に京大21COEとJGSEEの命を受けて、Nukiさんと先々代のPiniti先生にアジアでエネルギー・環境分野で協力ネットワーク創りの相談に行ったが懐かしい。

 

f:id:habumon:20190907153847j:plain

 

そのあと、SEE Forumというのが発足しましたが、そこでも高齢化問題?があったので、当時30代前後の若手研究者でSEE Forum Young Researcherと名乗って、一緒にSATREPSの若手FSプロジェクトに採択されて「アジアにおける再生可能エネルギーポテンシャル調査」を実施。採択10課題で他は2カ国間でしたが我々だけ7か国参加の多国間協力で異色を放っていました。

 

f:id:habumon:20190907153926j:plain

www.jst.go.jp

 

f:id:habumon:20190907154136j:plain

 

 

そんなメンバーもいよいよ?Youngとは堂々と言えないお年頃になってまいりましたが、YoungのうちにResearch Collaborationを通じて培った親交は、壮年時のお仕事にとってかけがえのない礎になりますね。個人的にはJGSEEへ留学で相当な恩恵を受けていると思うのですが、これを次世代の日本人の若者へ伝えていくのが真剣な課題です。
 

このままだと、昔昔あるところにチャオプラヤ川から流れてきた桃がありましたとさ・・桃から生まれた〇〇!と昔話となるような危機感があります。長期的にはいいんですが、せめて爺さんになる前に一人ぐらいは会ってみたいものです。誰か良いアイディアがあったら教えてください。よろしくお願いします! 

 

【タイで博士号 No.3_2】「えんじんきみょう」と「まんだら」

【タイで博士号No.3】シリーズでは本を読んだり、人に尋ねたりしながら考えたりしていることを現在の頭の整理と、近い将来にまた考える起点としての備忘録をまとめていきます。自分経営のための学問の足跡のようなものです。第1回目では、渋沢栄一著の「論語と算盤」からの学びについて書きました。今回は、「えんじんきみょう」と「まんだら」というタイトルをつけて書いてみたいと思います。

habumon.hatenablog.com

 

f:id:habumon:20190825204234j:plain

「えんじんきみょう」と「まんだら」

「まんだら」という言葉はよく聞いたことはあるでしょう。いろんな描かれかたがありますが、上の写真のように、真ん中の大きめに描かれた仏さま?を中心に、周りに沢山、他の仏さま?が描かれているような絵を想像されるでしょう。優しめの仏さまの集合図だけでなく、中には、下の写真のような阿修羅を中心にしたものもあります。(実は、この写真は両方とも本日、タイ・バンコクのウィークエンドマーケットのアンティークショップで写しが売っていたので、買ってきたものです。

f:id:habumon:20190825212607j:plain

「えんじんきみょう」とは? これを漢字に直すと「縁尋機妙」となります。「良い縁が、尋ねて良い縁に繋がるというのは不思議だな」ということで、ざっと説明を端折ると、両方とも「仏教」に由来するタームですね。

 

従いまして、「えんじんきみょう」と「まんだら」は周りくどくなりましたが、仏教的な哲学から学んだこと、気づいたことについてのちょっとした備忘録です。 

 

 物心ついたときから、実家には仏壇があったり、近所にお寺があったり、お地蔵さんやら観音菩薩やらを祭った寺社仏閣が身近にありました。それと同時に、実家には神様棚があったり、地元で神社で五穀豊穣のお祭りがあったりなど多様なものが混じりあっているのが自然と馴染んだ風景でしたね。祖父母や父母などから仏教とか神道とかにちなんだ、風習やら作法なんかを知らず知らず習っていたと思います。社会の教科書とかに、弥勒菩薩だとか観音菩薩だとかの写真が出て、テストに出る時ぐらいだけ、ちょっと覚えたりしていましたが、本質的なところを考えることは、恥ずかしながらつい最近までありませんでした・・。 

 

で、これを、考えるきっかけとなったのが、またまた、行きつけのバンコクの古本屋で趣味の「古本屋スキャン」で出会った一冊の本がきっかけです。(人工知能君には負けませんよ!

 

habumon.hatenablog.com

 

ひろさちや著 「まんだら」のこころ

 これは、ひろさちや先生という仏教を中心とした宗教問題の啓蒙家として知られている方が執筆された、新潮文庫から出ている本です。店の一番奥の棚にありました。価格は20バーツでした。(実は、前回のタイ駐在中に「まんだら」というキーワードが頭に入っていたので、それが結びついたというところですね。後述します)

f:id:habumon:20190825204324j:plain

 

仏教発祥の地はインドですので、「曼荼羅」とか「菩薩」とか「摩訶不思議」とか「南無阿弥陀仏」などは、もともとサンスクリット語を無理やり音訳語として漢字に当てはめたものです。そもそも、日本語でも中国語でもないので、漢字自体には意味がなく、音の語源のサンスクリット語に意味があるということに、先ず改めて認識することができました。

曼荼羅」は「曼荼」と「羅」に分解

曼荼羅:マンダラ」はサンスクリット語で「マンダ」が「本質的、神髄的」という意味で、「ラ」が「持ったもの」という意味ということです。つまり「マンダラ」で「本質を有するもの」と解説されるそうで、仏教的には「悟りをひらいたもの」ということになるようです。仏さまの集合図ということは、悟りをひらいた方の集合図を描いたものです。

「菩薩」は「菩提薩埵」の省略形

「菩薩」というのも、なるほどそうだったのか、と気づいたことを早速引用させて頂きますと、「菩薩」とはサンスクリット語の「ボーディサットブァ」の音訳語の「菩提薩埵」の省略形で、意味は「求道者」となります。悟りに向かって進んでいる人という大乗仏教の哲学的な考え方です。

 

 「曼荼羅」も「菩薩」も、ついさっき本を読みかじって知ったような私にはあまりにも高尚で、解釈を加えるのは僭越ですが、現代の一般市民の一人である自分へ落としこむと、多分、「多様でいろんなことがある社会の中で自分なりの理想や目標」に向かい、「志を持って学問をしている人」というところが「曼荼羅」と「菩薩」の活用方法としては拡大解釈できるのかなと思います。大乗仏教の哲学で好きなところは、「菩薩」って高尚な存在ではなくて、誰でも生きとし生けるものは何でもそうなんですよ、というところが肩の力が抜けていいところだと思います。

縁尋機妙と曼荼羅の縁?

 縁尋機妙という言葉と出合ったのは、博士論文の審査も終え就職先を一生懸命探していた時に、京都でのミッションへ一時帰国して、そのあとタイに戻るときの関空の本屋で見つけた安岡正篤先生の本に書いてあった一文です。タイに戻ってから、就職は文字通り綱渡りでしたが、タイで京大のプロジェクトをお手伝いしていた先生との「縁」が繋がって、タイに戻ったあとに、京大からお声をかけて頂き、ポスドクの就職が決まりました。ですので、本を買った直後に「縁尋機妙」というのを実感したのです。そして、現在に至るまで、今のリサーチ・アドミニストレーターなどで、共同研究を創発したり、または継続支援をしたりする中で、うまくいっているプロジェクトは当事者間が人間関係や、偶然の縁を大切にしているなということに気づきはじめまして、その辺を普遍的に考えてきた人はいるのかなと思い、google先生に尋ねてみましたところ、ヒットしたのが「南方曼荼羅」というものでした。これが、前回、タイに駐在していた時です。

 

南方曼荼羅

 「南方曼荼羅」とは、南方熊楠(みなかた くまぐす)という 日本の博物学者、生物学者民俗学者が、友人の土宜法龍宛てに送った書簡にあったものです。これが、のちの研究者に解釈が行われ、「南方曼荼羅」とよばれるようになりました。下の図が平凡社版全集第7巻365頁に掲載されている写真です。曼荼羅は全部で3種類あるようです。この図だけ見てはなんのこっちゃ分からないと思いますが、ご興味がある方は、google先生に「南方曼荼羅」と尋ねてみてください。

f:id:habumon:20190825204417j:plain

 

南方熊楠先生という方は、すごい方で、粘菌研究(自然科学)と民族学研究(人文社会学の今風にいうと異分野融合研究というトランスディシプリナリー研究の第一人者といってもよい方のように思います。(我々、URAという職業人にとってもこの、トランスディシプリナリー研究をどうやって創発するか、企画するか?というのがホットな課題です)

 

この書簡の中で曼荼羅を記した意図として、南方は「今日の科学、因果は分かるが、縁が分からぬ。この縁を研究するが我々の任なり。しかして、縁は因果と因果の錯雑して生ずるものなれば、諸因果総体の一層上の因果をもとむるが我々の任なり」と記してあります。このことを、南方は、AならばB、CならばD・・という因果律と区別して、「縁起律」と定義しています。これも俗に言うと、セレンディピティとかの発想に近いものです。

 

そうなんです。プロフェッショナルな「オペレーター:作業者」、「マネージャー:管理者」とプロフェッショナルな「クリエーター:創造者」の違いは、頭の中の構造と行動の指針が「因果律」で動くのか、「縁起律」で動くのかの違いにあるんじゃないかなというように思います。で、「縁起律」の発想を持てる人は「因果律」についても理解しうると思いますので、そのバランス、比率がプロフェッショナル人材の個々の特徴というところでしょうか。

 

f:id:habumon:20190826003237j:plain

私の場合、タイで博士号を取ったから現職がある、というのがどれぐらい直線的な因果律と、それを跨ぐ縁起律の所作なのか、考えてみると個人的に興味深いところです。

 

habumon.hatenablog.com

 

 

habumon.hatenablog.com

 

タイで博士号No.2_6】タイの石炭とバイオマスを一緒に熱分解して新発見!

  本日は、日本学生支援機構(JASSO)がタイで日本留学フェアを開催しております。日本からもこの日に合わせて、沢山の大学関係者がバンコクにいらしていますね。タイの皆さんへ、日本の大学の取組など知っていただいて、日本への留学機会を見つけて、知識や経験を身につけるのと一緒に、留学生活で出会う人たちとお友達になって、良い人間関係が創られていくといいと思います。日本の高等教育行政、大学のミッションで、タイの学生個人にとってはよい機会になるのでしょう。

https://www.jasso.go.jp/ryugaku/study_j/event/2019/thailand.html

  一方で、これからは学術関係・科学技術などで国と国とはイコールパートナーという関係性へ進化させていくことがお互いにとって心地よいと考えていくと、逆に”タイの高等教育行政、大学のミッションで、日本の学生個人にとってよい機会つくりとなるように、日本で、タイ留学フェアみたいなんを開催するようになると良いなと個人的には思います。インバウンド、インバウンドと言って留学生ばっかり集めるのに必死で、日本人の国際的な感覚と実践力を養成することには力を抜いていると、数十年後には追い越されるかもね。。。と心配にはなります。将来、未来というと今はどうなんだというように思いますので、日本社会の現在以降を担う人材育成(人的資本形成、科学技術資本など)へ大器をもって投資をけちらないでほしいですね。

 f:id:habumon:20190825114817j:plain

さて、本日は【タイ産】世界Top論文ゲットシリーズの最後です。過去2回分は参考にこちらです。この時に対象にしたのは、タイの稲わら、もみがら、とうもろこしの芯といったバイオマスです。この、バイオマスの熱分解特性というものを、丁寧に調べてタイの先生と一緒に議論・解析して論文に発表したというものです。発表後、12年たった今、幸い世界中の研究者にも読んでいただいて、引用論文のベンチマークで世界Top1%論文という客観的な評価を頂いております。

habumon.hatenablog.com

 

habumon.hatenablog.com

 

本日、ご紹介する論文は少し変わって、バイオマスとタイの石炭(褐炭という低品位の石炭)の両方と混合物を対象に、熱分解特性を丁寧に調べて纏めた研究成果です。この論文のテーマ自体が、私の博士論文のテーマ自体にもなるので、個人的には論文になって何とかやり遂げた!という思いが強いものです。(下記参照)

 

habumon.hatenablog.com

 

f:id:habumon:20190825115137j:plain

石炭とバイオマスの相乗効果ってあるんじゃない?に着目

このテーマの問題意識は何かというと、タイの低品位石炭の消費量(消費スピード)をバイオマスを混ぜることで環境負荷を下げて抑制できないかということです。ただし、当然のことながら、石炭とバイオマスの”熱分解特性”は異なりますし、それぞれが同じ質量あたりにもっている熱量も異なります。ですので、単純に、燃焼炉などへ石炭とバイオマスを混ぜて、石炭だけの時と同じ質量の燃料を入れたらOKというような単純な話ではありません。見かけのインプットだけそろえて、アウトプットの質と量は知りませんではあきまへんということですね。(そういう話って、これにかぎらずいろんなところでありそうですが・・) 

 

そういった問題意識を持ったうえで、一つの仮説として、石炭とバイオマスを混ぜて熱処理する場合に、単純にバイオマスを増やした分、石炭の量が減って良かったね、じゃなくて、熱処理プロセスの過程で何か石炭とバイオマスの相乗効果がないかな?ということを見つけ出せれば付加価値のある技術開発に繋がるのではないか?ということを考えたわけです。

 

論文のタイトルにある"Synergies in co-pyrolysis of Thai lignite and corncob"の"Synergies"というのが”相乗効果”という意味です。1990年代ぐらいから、石炭とバイオマスやら古タイヤやら廃プラスチックやらを混ぜて、熱分解の研究というものは結構されていたのですが、相互作用や相乗効果がある無しを実験的に証明した研究というのは、あるようでなかったのですね。こういう、過去の研究の流れを汲んで、まだ調べ切れていないところに着眼すれば結構、面白い研究対象というものは”場所”に関係なく見つかるものです。

石炭とバイオマスで400℃付近で異常が見つかる

日々ですね、熱天秤(TG)と小型の反応炉を使って石炭とトウモロコシの芯の混ぜ物を、細かく比率を変えて、熱処理の温度も変えて熱分解実験をしていきますと400℃付近で作った混ぜ物の生成物の量というのが、それぞれ単独で400℃処理したものととは異なることが実験的にわかってきたのです。ただし、600℃まで温度を上げると、異常はみつからないのですね。生成するガスの種類やその量を調べてみますと、この温度付近ではメタンガスの生成量が多い。ただ、600℃では変わらないということは、もともとの資料自体から発生するメタンの総量は変わらないが、メタンが発生する温度が低くなっているということですね。

この温度付近で、バイオマスの種類をトウモロコシの芯から、稲わら、もみ殻、サトウキビの絞りカスとかに変えても類似の作用がみられるのです。不思議ですねー。それで、400℃前というのはバイオマスの熱分解では一体どういう反応が起こっているのか?ということを考えると、最初の二つの論文で証明していたように、300-380℃付近というのはバイオマス内のヘミセルロースセルロースが一気にい分解する温度であったことを思い出します。

というようなことを調べていくと、石炭とバイオマスを混ぜて熱分解反応をすると、バイオマスから発生する揮発分(CO, CO2, CH4=メタン、もう少し大きい炭化水素など)が石炭に作用して、石炭の熱分解を低温で促進すると同時に、揮発分が細かく分解されて(専門的には二次クラッキング)、結果的にメタンの生成量が増えているのでは、ということが言える論文がかけたわけです。

 

f:id:habumon:20190825115156j:plain

 

この石炭にバイオマスを混ぜて通常より付加価値が出るということは、特に高価な薬品を使う必要もないし、地元で生産できる資源を有効活用できる可能性が高いので、地域に適合できる技術へ発展できるのではないかと思うわけです。

 

お陰様でこの論文も多くの研究者に引用して頂いておりまして、引用論文ベンチマークえも世界Top3%論文という客観的な評価もいただいております。

 

これから、どこの地域も国も経世済民(経済発展)のためには、それを維持していくための”資源”確保が必要になります。そのため、資源をどのように確保するのか、いわゆる”資源安全保障”っていうのは重要なのですね。その場合、何も資源がない国よりかは、資源を自給できそれに自分たちの技術で付加価値をつけることができるというのは、その地域もしくは国の強みになると思います。

 

私の研究成果は学術的な範囲になりますが、

  • タイの研究環境(研究施設、研究資金など)を活用し、

  • タイの石炭とバイオマスに対して

  • 石炭とバイオマスの相乗効果という付加価値を見出し、

  • 世界中(タイ以外の地域)の研究者も参考にしている研究成果となっている

という事実が見出されました。この点はタイにとって、今後の強みの一つへ貢献できるといいなと思います。

 

 

【タイで博士号No.2_5】タイの稲わら、もみがら、とうもろこしの芯を調べてTop 1%論文ゲット!(その2)

 前回の記事で、タイがアジアの中で留学したい国ランキング2019でTop1に輝いたことを書きました。その記事の最後に、”タイの整った研究環境を選びタイの大学で一緒に切磋琢磨して、世界の研究者コミュニティへインパクトの高い研究成果を共に生産するっていうアドベンチャーに挑んでみたい、日本人の学生さん出てこないかなー”って書きました。

 

 2019年の現代で、こういうことを日本人の学生さんへ問いかけると一体どんな答えが返ってくるんだろう?? 2019年の現代でも、タイみたいな発展途上国ではそんなの出来っこないですよー。日本の先端的な装置がそろって研究資金が豊富な研究室じゃないと出来ないようー。などなど大変利口そうなお答えをされるのでしょうか? 一人ぐらい、そろそろチャレンジしてみたいという若者が出てきてもいいものですが、いまだかつてどこからもそんな声は聞こえてきませんね~。

 

・・というようにわざとらしく書いておりますが、今から10数年前のタイで、当該分野で世界の研究コミュニティへインパクトの高い研究成果を生産することができました!

 

f:id:habumon:20190819225022j:plain

 今回は前々回の記事で紹介した論文に引き続き、タイでの研究成果をまとめた2本目の論文も、幸いにも”世界Top1 %論文”として、世界中のバイオマス熱分解研究分野の研究者、研究グループの先端的な研究の発展に貢献してますよということを紹介させて頂きます。1本目の論文がラッキーパンチで、たまたまということではなく、2本目の論文もちゃんと成果がでて、客観的にも評価を得ているのでマグレではないっていうことでしょう。いうなれば、日本人の多くが知らないだけで、タイの大学の研究環境で、研究者間、指導者との間柄、先輩後輩との協力関係の構築によりしっかりとした研究成果を生み出せるのです。

・・なんで間柄とか・・それはもちろん、今の先端的な研究成果を出したり、実験したりするうえでどれだけ多くの先人の知恵や努力、功績の下に立っているか、現在いる周りの見える方、見えない方の協力や支えの下で研究ができているか、、など、そういったことを全部ひっくるめた”間柄”によって気づけるとよいのですが。

habumon.hatenablog.com

 

habumon.hatenablog.com

世界で初めてバイオマスの熱分解反応へDAEM(分散活性化エネルギーモデル)を適応 

 2本目の論文は、最初に出した論文の稲わらとか、もみがら、とうもろこしの芯などいわゆる”バイオマス”という物質の熱分解の超基礎的な実験データのまとめに基づき、その反応を世界で初めてDistributed Activation Energy Model (DAEM)というモデルに当てはめたという成果になります。要するに、実験データを用いて数学モデルに当てはめて、バイオマスという材料にも適応できるということを証明したというものです。

 

f:id:habumon:20190819225054j:plain

 

これがどうすごいのかは、いろいろ説明の余地がありますが、少し説明します。となると、ちょっとバイオマスというものの組成を少し説明する必要がでてきます。

 

バイオマスというのは、おおざっぱにいって木材とか植物とかになりますが、それらは概ねマクロ的には3つの構成物が混ざり合って構成されております。

です。もっと専門的には他に譲るとして、この3つで構成されてますということを知っていれば、少し賢くなった気分になると思います。世界中のバイオマスの熱分解反応というものを研究している研究者は、熱分解っちゅうのはどんなメカニズムでおこっているのかというのを調べたい気持ちにかられます。そこで、いろんな種類のバイオマスがあるので、それを一般化するために、この3つの構成要素(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)がある一定の割合で混ざったものだと仮定して解析を行います。

 

例えば、とうもろこしの芯と稲わらの熱分解の進み方が異なるのは、セルロースとリグニンの配分が違うからではないかーとか。なんかそんなんを考えたりするわけです。

 

そうなったときに、感覚的に適当なことを言って、論文にするわけにはいかないので、より市民権を得ている数値モデルなどに当てはめて反応を説明しようします。

 

そこで、私たちの論文が発表されるまでは、世界中の研究者は単純に木材ももみ殻も、とうもろこしの芯も・・丸いセルロースとヘミセルロースとリグニンの球の混ざりものと単純化して、それぞれが温度によって順番に分解していくという(それぞれは相互作用はしません)という仮定をして説明をされてきていたというのが、当時までの流れでした。

 

それはちょっとあんまりにも単純化しすぎだようなーと、当時から疑っていたので、タイ人の指導教官の先生ともいろいろディスカッションをして、バイオマスの熱分解が単純に3つの物質の熱分解が並行で起こるのではなくて、温度に応じて無数の反応が同時に起こっているはずだ、という考えの下、すでに、石炭の熱分解モデルで証明されていたDistributed Activation Energy Model (DAEM)というのをバイオマスに当てはめてみました。というのが、この2本目の論文のざっくりした内容です。

 

f:id:habumon:20190819225112j:plain

 

この論文は1本目を投稿して半年ぐらいあとにすぐに投稿したのですが、査読者の間でも議論があって、1年ぐらい査読に時間がかかったというものです。。(世界で初めて発表となったので、専門の査読者の中でも丁寧に審査していただいたのでしょう)

 

というようなこともあり、この論文も上の図のように、今でもよく皆さんに引用して頂いております。

  • 被引用件数:205件(自己引用を除く)
  • FWCI:8.31 (平均より多く引用して頂いている)
  • 被引用ベンチマーク: 99パーセンタイル(世界TOP 1%)

ちなみに、8月13日付で文科省から下記のような公表がでてますね。。。

 

日本の注目度の高い論文数(Top10%・Top1%補正論文数)の世界ランクは2000年代半ばより低下しています

www.mext.go.jp

 

【タイで博士号No1_6】祝!タイがアジアで留学したい国Top 1(2019ランキング)

タイ、アジアで留学したい国でTop 1獲得

少し前の発表内容ですがタイ人の友達のfacebookで目に留まりましたのでご紹介させて頂きます。education.comという世界中の教育プログラムを紹介し、将来の進学先探しをサポートする民間企業の調査で、アジアで留学したい国ランキング2019のトップにタイが、日本とシンガポールを抑えて1位に輝きました! パチパチパチ~!ちなみに、世界ランキングでも、タイは3位でした。

 

educations.com

https://www.educations.com/about-7002

”educations.com is the global online meeting point for students and schools in over 210 countries. Here, prospective students can quickly and easily find relevant information on study abroad options, while schools and higher education institutions can

Top 10 Study Abroad Countries in Asia - 2019 Rankings

https://www.educations.com/top-10-lists/top-10-study-abroad-countries-asia-2019-14343

 

f:id:habumon:20190818161304j:plain

ランキング調査の指標が次の7つで、1~4あたりがいいですね。

  1. To experience a new culture
  2. To achieve career goals
  3. To have an adventure
  4. To make new friends/widen professional network
  5. To access higher quality teaching
  6. To study for free
  7. To attain a visa

特に、3 (to have an adventure)と4 (To make new friends/widen professional network)など、まさにその通りだなと実感します。

 

タイの次世代を担う科学技術人材育成のための国家的な取組

タイでは毎年、8月のこの時期ぐらいにタイ国家科学技術博覧会を大々的に開催し、主にタイの若い人材(小さい子供~)から大人まで科学技術への関心を高める取組を続けています。私も、2006年ぐらいに、タイ科学技術週間と言われていたときからブース展示やら時折、参加しておりました。

http://www.nsm.or.th/en/nsm-activities/important-activities-of-nsm/national-science-and-technology-fair.html

 

この間に、タイ側の展示物がだんだんと大規模にかつ、クオリティーが上がっていることは言わずもがなですが、個人的にすごいなと思うことは、国として全国津々浦々の小学校、中学校ぐらいに動員をかけて、沢山の若い子供(小学生~中学生あたり)が参加しつづけているということです。そして、高校ぐらいになると、サイエンスクラブ的に研究活動コンテストを行い、開会式で優秀な取組をした学生さんにはPrime Minister Awardの授賞式も開催されます。タイの子供、その先生や親にとってもモチベーションがあがる取組だなと思います。

 

f:id:habumon:20190818163335j:plain

 

f:id:habumon:20190818163356j:plain

 

展示場はとても広く、タイだけではなく、他国のブースなど様々な展示物や科学技術教育の催しがあります。これが、1週間強に亘り開催されますので、毎年、100万人ぐらいが来場するといわれています。

 

f:id:habumon:20190818163416j:plain

 

さて、2006年に初めて参加したときに、小学1年生(6歳)だったタイ人の子供は、現在9年で19歳(大学1年生~)になっているということですね。またまた、再掲ですが下のGDPの推移の中で、この6歳だったタイ人の子供は2006年以降は日本が長期低迷している間、ぐんぐん経済成長(タイ国内比)している環境の中で育った子供で、現在は大学1年生になっているということですね。今年、Prime Minister Awardを受賞した高校生たちも、数年後は大学生になって科学者や研究者の道へ進むかもしれません。そして、優秀な学生はそのまま偉くなって、タイの科学技術を成長させていく人材となるのでしょう。

 

f:id:habumon:20190721184923j:plain

 

とういことで、何を言いたいかといいますと、冒頭のランキング指標に戻りますが、これからの日本の若い人材の方も、タイに留学するということの戦略的な指標として、4のTo make new friends/widen professional networkという点はさらに重要性が増すものと思います。

 

タイの活気のある社会で成長された、優秀でまじめなタイ人の同級生と、タイの整った研究環境を選びタイの大学で一緒に切磋琢磨して、世界の研究者コミュニティへインパクトの高い研究成果を共に生産するっていうアドベンチャーに挑んでみたい、日本人の学生さん出てこないかなー。